鉄を扱う彫刻家・戸張花さんの滞在制作が行われ、ワークショップとアーティストトークを開催しました。

滞在制作期間:2026年1月28日~2月14日

今回の奄美滞在では、鉄との関わりが深い奄美の泥染めを取り入れた作品および鉄の彫刻作品を制作いただきました。

 

完成した作品

タイトル:  invisible inside
素材:  鉄
サイズ:  203mm×44mm×108mm(幅×奥行×高さ)

無垢の鉄の塊をひたすら磨き続けた制作をした時、私はその素材の奥底から伝わってくる、抗うような強い抵抗感を感じました。
目には見えなくとも、確かに感じる、素材が持つ力強い生命のエネルギーを感じたのです。その感覚は、奄美大島の自然の中で触れた、根源的で静かなエネルギーと重なり合いました。
私の作品は、無数の細かい鉄の粒や線を一つひとつ集積し、積層させることで形作られています。それは動植物や私たち人間が、細胞や組織という小さな単位の連続によって成り立っていることと共通しています。
鉄という人工的な素材において、「錆び」は単なる劣化ではなく、自然が本来持っている要素であると私は捉えています。鉄が時を経て錆びていくその様は、動植物が朽ちて命を終え、土へと還っていく営みと結びついています。
鉄という無機質な素材が、長い時間をかけて本来の姿へと還ろうとする自然の循環と、素材や土地のもつ根源的なエネルギーを表現しています。
(アーティスト本人より)

 

タイトル:  two irons
サイズ:  594×27.5×841mm(幅×奥行×高さ)
素材:  絹、鉄粉、金粉、タンニン酸、鉄分、アクリルメディウム

本作品は、工業製品(鋼材)としての「人工的な鉄」の側面ではなく、土の一部として存在する「自然由来の鉄」の姿に着目した作品です。
奄美大島の染色技法である「泥染め」の、土に含まれる鉄分を利用して色を定着させるこの技法は、現代社会で私たちが手にする精製された鉄が、かつては大地の一部であったという根源的な記憶を呼び起こさせます。
画面の中では、無機質な鋼材としての鉄の表情と、泥染めによって引き出された原始的な鉄の表情が共存しています。
この対比を通じて、人工物と自然物の境界の曖昧さ、時を経て徐々に本来の自然な姿へと還ろうとする鉄の生命力や、自然の循環を表現しました。
(アーティスト本人より)

 

制作風景(鉄工房)

 

制作風景(泥染め工房)

 

成果発表会&ワークショップ

 

アーティスト  戸張 花
1993年 東京都生まれ。2018年 多摩美術大学大学院 彫刻専攻 修了(首席)。
主に鉄を素材として「ものの成り立ち」や「その構造」をテーマに制作。

受賞歴
2024 KAIKA TOKYO AWARD2024 大賞
2017 八王子夢ビエンナーレ 入選
2016 第52回神奈川県美術展 美術奨学会記念賞
2015 第51回神奈川県美術展 入選

主な個展
2020 IMMANENCE-内在-/LOKO GALLERY(東京)
2017 多摩美術大学大学院優秀者選抜展 戸張花展/GalleryK(東京)

主なグループ展
2025 OPEN STUDIO 2025/THE BASES(東京 )
2024 Asyl-1-/GalleryK(東京)
2022 鉄展/Gallery KINGYO(東京)
2022 WHAT CAFE×DELTA EXHIBITION-TRI FOLD-/WHAT CAFE(東京)
2022 LayerCakes/the 5th floor(東京)
2021 ヤングアーティスト公募展/上野松坂屋(東京)
2021 キュピスとロゴス/GalleryK(東京)
2020 Drawings/LOKO GALLERY(東京)